北朝鮮から帰国のアメリカ人大学生はなぜ昏睡状態の末命を奪われたのか!

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北朝鮮を旅行中に逮捕され、拘束されていたアメリカ人大学生、オットー・ワームビアさんが昏睡状態で帰国して1週間、帰らぬ人となってしまいました。

突然の逮捕にもかかわらず、異国の地で面会も許されないまま、チューブにつながれた状態で帰国した我が子を見て、親はどんな思いだったでしょう。

なぜワームビアさんは、命を奪われなければならなかったのでしょうか。

今、分かる限りの可能性を推察してみます。

北朝鮮で拘束され昏睡状態だったアメリカ人大学生

バージニア大学で経済学を学んでいたオットー・フレデリック・ワームビアさん。

彼は、2015年年末から北朝鮮を旅行で訪れていましたが、年が明けた1月2日、宿泊していたホテルで、壁に貼ってあったポスターを盗んだ罪で逮捕されてしまいました。

そのポスターは、政治スローガンが書かれていた政治色の強いポスターだったということで、ワームビアさんは2016年3月、国家転覆陰謀罪に問われ15年の労働教化刑が科されたのです。

当時、ワームビアさんは中国の会社が企画したツアーで北朝鮮を訪れていて、羊角島国際ホテルという外国人旅行者が多く利用するホテルに宿泊していたそう。

ポスターを盗もうとしたことがなぜバレてしまったのかは不明ですが、ホテル内のカメラにワームビアさんの様子も映っているので、知らないところで外国人は監視されているということもあるのでしょうか。

あり得ないことではないですね…。

そして、逮捕の翌月には記者会見を行い、号泣しながら謝罪をするワームビアさんの様子が公になりました。

労働教化刑となった受刑者は、日本の刑務所にあたる「教化所」という施設に入れられるそうですが、ここで労働が強制されるそう。

しかし、実情は日本の刑務所とはほど遠く、病気や飢えで亡くなる受刑者も多いと言いますから、内情は計り知れません。

ワームビアさん自身もこの教化所でどのような生活を送っていたかは不明ですが、少なくとも入所間もなく昏睡状態に陥ってしまったことが明らかになったようです。

帰国後1週間で帰らぬ人へ

2017年6月13日、母国・アメリカに帰国したワームビアさん。

しかし、帰国したのは以前の知的で雄弁なワームビアさんではなく、鼻にチューブが繋がれ、昏睡状態に陥った無残な姿の青年でした。

オハイオ州の大学病院に入院したワームビアさんでしたが、診察にあたった主治医がすぐに会見を行い、植物状態であることを明かしました。言葉を発することもなく、動くこともなく、心臓が停止したような形跡もあったと言います。

心臓が一時的に止まることによって、血流が滞ってしまい、結果的に脳が大きなダメージを食らってしまったのではないかと言うのです。

北朝鮮側の説明では、「ボツリヌス感染症」にかかり睡眠薬を飲んだあと、昏睡状態に陥ったとのことでしたが、主治医らが診察したところ、ボツリヌス感染症の形跡は見られなかったと言います。

そして、帰国から1週間経った6月20日午前3時20分。ワームビアさんは帰らぬ人となってしまいました。まだ22歳という若さでした。

ボツリヌスでないとすれば何が原因だったのか、1年以上も北朝鮮でどのような治療を受けていたか、何もかもが今は不明の状態です。

一体、なぜワームビアさんは命を奪われなければならなかったのでしょうか。

なぜ命を奪われなければならなかったのか

今回の一件で、ワームビアさんがごく普通に病気にかかり、昏睡状態になって亡くなったと見ている人は、ほとんどいないと思います。

これまでの北朝鮮を見ていれば、それがごく自然な見方です。

では、なぜこんなことになってしまったのか。

逮捕当時、北朝鮮はワームビアさんについて、

「アメリカ政府の黙認と操縦のもと、北朝鮮への敵対行為を働いた」

と語っていました。

そう、狙いはやはりアメリカなんだと思います。

現に、ワームビアさん以外にも、まだ3人の韓国系アメリカ人が北朝鮮に拘束されていますが、そのうちの2人は今年の4月、5月と立て続けに拘束されています。

国対国の問題が、個人に暗い影を落としてしまったというわけです。

どのような状況でワームビアさんが昏睡状態に陥ったか分かりませんが、命がギリギリのところで帰国させたのは、両国の外交代表者がノルウェーで会談し、4人の拘束中のアメリカ人について話し合った結果の判断だったと言われています。

ワームビアさんが北朝鮮で亡くなっては、さらにアメリカの感情が悪くなるためそれを避けたというところのようです。

人の命を何と思っているのか…。

怒りしかありませんね。

対話のための糸口だと!?

ミサイル問題でも国際的に非難を浴びている北朝鮮ですが、ワームビアさんを亡くなる直前に解放したことで、これ以上両国間の関係が悪くなる前に会話の糸口を見つけ出したのでは?という見方もあります。

人の命を外交のカードのように使うことには、大きな憤りしか感じません。

号泣しての会見にしても、北朝鮮側に無理やりさせられたのは明白で、短期間に精神的に追い詰められたワームビアさんの様子が見て取れます。

「重要な政治スローガンの表示を盗もうとする罪をおかしました。北朝鮮の人々の信念とモチベーションに悪影響を及ぼそうとしたのです」

こんなことが北朝鮮に対してできないことなど、誰にでもわかるはず。誰が聞いても言わせられているとしか思えません。

こんな不本意な会見の後、ワームビアさんがどのように扱われたのか、ご両親の気持ちを考えると本当に辛いですね。

北朝鮮は「人道的な見地から」ワームビアさんの釈放に至ったと発言していますが、それならどうして弁護士もつけられず、面会も認められなかったのか。

何を言っても通用しない国と言うことはわかっていても、やはり奪われた命の重さを考えると、悔しさばかりがこみあげます。

今はワームビアさんのご冥福をお祈りするばかりです。

今後も北朝鮮の動向についてはきちんと見届けたいと思います。

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