ギリシャ幽霊飛行機事故に学ぶ教訓!522便の中で何が起こったのか?

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2005年8月14日に起きたギリシャの「ヘリオス航空墜落事故」。

記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

微動だにしない客席の乗客たち。姿のない機長と動く気配のない副操縦士。そして空中を漂う「幽霊飛行機522便」。

一体機内ではなにが起きていたのでしょうか。

 

ヘリオス航空522便墜落事故

2005年8月14日、ギリシャでその事故は起きました。

キプロスを午前9時7分に出発したヘリオス航空の522便は、高度約34000フィート(約10400m)まで上昇。離陸から30分後には、アテネ飛行情報区に入りました。

しかし自動操縦で旋回し、到着予定時刻になっても着陸しない522便。

これに対し、ギリシャ空軍は、ハイジャックや市街地への自爆テロも考え、F-16をスクランブル発進させたのです。

F-16が522便に接近すると、ボース副操縦士がコックピットの座席でうなだれ、メルテン機長の姿はなし。

客室では、酸素マスクがおりたまま、誰も動いていませんでした。

午前11時49分、F-16はコックピットに入る人影を確認。その人影は、機長席で事故機の操縦を試みていました。

しかし、直後の午前11時50分、燃料切れのため右翼のエンジンより出火します。

522便はアテネ国際空港上空を高度を下げながら飛行し、数回旋回。

一度2000フィートに高度を下げ、また7000フィートまで高度を上げます。

しかし、燃料が尽き、左翼のエンジンも停止。

午後0時4分にアテネの北約40㎞の山岳地帯に墜落してしまいました。

目撃者によれば、522便は急降下し地面に激突したと言います。

その結果、乗員6人を含めた121人全員が亡くなりました。

 

事故の原因

522便はキプロスの管制官に、気圧空調装置不良から来る警告ブザーを報告していました。

実はこの機体、事故前のフライトで乗務員から右最後尾のドアから空気漏れとドアの氷結の報告があり、事故を起こした便のフライトまでの数時間に与圧空気漏れの点検を行っていたのです。

検査結果は異状なしと出たため、検査はそのまま終了。

検査のために機内に注入していた空気を流量調整弁から抜く作業を行いましたが、機内からの排気終了後に流量調整弁をマニュアル・モードにしたままオート・モードに戻さず整備士が降りてしまい、このことを操縦士らは離陸前点検で気づかなかったそうです。

そして与圧システムの異常のため、客室及び操縦室の酸素が低下。

522便に乗り合わせた全員が意識不明に陥ってしまったため、操縦できずに墜落したと見られています。

ギリシャ政府は事故機があと5分飛び続けていれば、アテネ市街地に墜落することも考えられたため、その状況を回避すべく撃墜命令を出す態勢だったそうです。

ヘリオス航空は、522便の乗客名簿公表が大幅に遅れるという不手際や、事故翌日の乗員の乗務拒否、乗客のキャンセル、路線の縮小などが重なり、翌年には他社に事業譲渡、運行停止に追い込まれました。

 

コックピットに進入した人影

客室の酸素の補給時間が過ぎ乗客が意識を失っていく中、一人だけ意識を保ち続ける人がいました。

軍隊で特殊部隊にいた経験がある客室乗務員のアンドレアス・プロドロモさんがその人。彼はパイロット志望で事業用操縦士資格を持っていました。

プロドロモさんはこの最悪の事態を打開しようと、酸素ボトルや余った酸素マスクで酸素を補いながら操縦室へ向かいます。

しかし、操縦室扉の暗唱コードを知らなかったため、解除に手間取ってしまいます。

そして、やっと操縦室に入るも酸素、燃料ともに底をつき、無線も通じず…。

操縦しようとした直後にエンジンが立て続けに停止してしまいました。

プロドロモさんにはボーイングを操縦する技能が足りず、燃料や酸素の不足も重なり、機体を無事に着陸させることができませんでした。

しかし、機体が旋回していたことで山中に墜落し、都市部での大規模な二次災害を回避できました。

遺体26体を検死し、意識があったかどうかは不明ながら、乗員乗客は墜落の時まで生きており、墜落の衝撃で死亡していたことが判明と発表しています。

 

技術は進んでも最後は人!

作業員のちょっとしたミスで起こってしまったこの大惨事。

つい先ごろ、日本初の国産ジェット旅客機MRJの初飛行が話題となりました。

日本人の技術と情熱が詰め込まれた希望の飛行機。しかしやはりその安全な飛行のためには、日々の人の目による確認が必要なはずです。

技術に過信せず、細心の注意を最大限に払って、522便の整備が行われていれば、このような悲劇は起きなかったでしょう。

墜落直前まで意識を保っていたプロドロモさんは、想像を超える恐怖と戦いながら最後まで諦めずに戦われたはずです。

地上の人を巻き込むという最悪のケースを回避してくれたプロドロモさんに感謝すると共に、乗員乗客の皆さんのご冥福をお祈りいたします。

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