北見市都市ガス漏れ事故~一酸化炭素中毒の起こした悲劇

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12月17日放送の「奇跡体験!アンビリバボー」では、2007年1月に起きた“北見市都市ガス漏れ事故”が取り上げられます。

死者まで出してしまったこの事故の原因は何だったのか。事件の全容に迫ってみたいと思います。

 

北見市都市ガス漏れ事故 概要

2007年1月、北海道北見市春光町で大規模・広範囲な都市ガスのガス漏れ事故が発生しました。

【17日】
正午頃と17時10分頃の2回、北海道ガスの支店に、住宅に設置されたガス漏れ報知器が突然鳴り出したとの通報が入ります。

直ちに調査員を派遣しますが、検出できたガスは微量。ガス臭もなく、安全上の問題もないとして供給停止などの措置は行わず、本格的な調査を翌日に見送りました。

その後20時ごろ、またもや2軒目の通報元からガス漏れ警報器が鳴動していると連絡が入りますが、この時対応した社員は警報器の誤作動であるかのような発言をして対応したようです。

【18日】
午前6時半ごろ、47歳の女性がト自宅で意識不明になり救急車で搬送されるも、搬送された病院で1時間後に死亡。

死因は当初、心不全と判断されました。

また、女性の夫や家族も頭痛を訴え診察を受けますが、夫はガスストーブの不完全燃焼が原因だろうと考えており、医師や消防も一酸化炭素中毒とは見抜けずにいました。

午前9時ごろ、北海道ガスが掘削調査を行いますがガス漏れ箇所は特定できず、このまま様子を見るとして一旦調査を終了します。

しかしこの夜から、頭痛・吐き気を訴える住民が出始め、多くは最初に亡くなった女性の自宅近辺に集中。

翌日の朝にかけて病院に搬送された人もいて、一酸化炭素中毒と診断されました。

更には同日、幸町でもガス漏れ警報器が鳴動したとの通報がはいりました。

春光町とは異なり、当初からガス臭を伴っていましたが、ガス漏れ箇所は発見できません。

調査は続けつつも、供給停止や避難といった措置はとられず、また、市や警察・消防にも連絡を入れませんでした。

【19日】
午前5時半ごろ、田端町でもガス漏れ警報器が鳴動しますが、ガス漏れ箇所を特定できずに通報元宅のガス機器の使用を許可しています。

12時45分ごろ、北海道警北見署に、春光町の住民から

「ガスくさく、頭痛がする」

との通報が寄せられます。

道警から北海道ガスにも連絡が入った為、職員が春光町内を1軒ずつ巡回。

この時、2つの家庭で応答がなく、消防に確認を依頼します。

14時ごろ、依頼を受けた消防が警察と家の中を確認したところ、2つの住宅でそれぞれ64歳と44歳の男性2人が遺体で、2人が意識不明の重体で発見されました。

彼らは、最初に亡くなった女性の自宅と同じ並びに建つ3軒の家の住人でした。

ようやくこの時点で、春光町で大きな規模のガス漏れが発生しているということが認識されます。

すぐにガスの供給は停止され、北見市は付近の住民77世帯178人に避難勧告を発令、付近の小学校に避難しました。

一方幸町のガス漏れについては、警察から指摘を受けて初めて事実を伝えます。

さらには常盤町でもガス漏れが発生していたことが20日までに明らかになりました。

最終的には、春光町に住む12人が病院に運ばれ、そのうち1人が死亡、2人が遺体で発見されるという惨事になりました。

亡くなった3名の自宅は並んで建っていましたが、ガス漏れの箇所はその自宅の向かい側にある公園の地中。

埋設されていたガス管が、まるで切断されたかのように破断し、その管の面が大きく上下にずれていたと言います。

また、幸町のガス漏れ箇所は春光町同様に大規模なものでしたが、ガス臭が強かったために死者はなし、常盤町のガス漏れは配管にできた亀裂が原因のものでした。

 

北見市都市ガス漏れ事故の原因

大元のガス漏れ原因は、ガス管の破断。

破断したガス管はいずれも鉄で出来ており、1956年~1967年の間に埋設されたものです。

路面が凍結し、雪などの荷重がかかる厳冬期に入ると、破損によるガス漏れがたびたび発生していました。

今回、ガス管に大きな破損があったにもかかわらず、微量のガスしか検出できなかったのは、路面が凍結した上にさらに積雪があったためとされています。

また、北見市の都市ガス事業はもともと市営でしたが、財政難のため、無毒ガスへの切り替えが行われていませんでした。

使われていたガスは石油系のもので、5%強の一酸化炭素が含まれていたといいます。

北見市ガスの無毒ガスへの転換は2001年になってようやく開始されましたが、北見市の財政状況から進みは遅く、さらにこの転換事業による収益悪化により2006年に市ガス事業を廃止、北海道ガスに売却されます。

このため、北海道ガス管轄とは言っても、システムが北見市内だけ北海道ガスの供給網から外れていたため、事故の把握が遅くなったとも言われています。

ガス漏れは微量でしたが、その時点での自治体や警察、消防への通報がなく、供給停止などの処置もされず、そのまま供給し続けた北海道ガスの初期対応の悪さが被害を拡大したとの批判もありました。

この事故を機に、経済産業省が各ガス会社にガスの種類の転換を迅速に行うように指示。

2010年3月には日本国内から一酸化炭素を含む都市ガスは全廃されました。

 

注意喚起を!

この北見市のガス事故は人災なのでしょうが、自然災害も人災もその初期の対応が大きく被害に影響します。

多くの被害者、そして死者まで出したこの事故は、その初動にもっと真摯に臨めば、最悪の事態は防げたのかもしれません。

現在では、高齢化社会ということもあり、ガスを使う家庭自体も以前よりは減っています。

しかし、ガスにせよ電気にせよ、完全に安全と言うことはありません。

使い方、処置を誤れば惨事となってしまいますので、使う側も常に注意をしなければならないですね。

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